戦闘民族の獄

きゅーぽけ所属 モンローです

めざめるパワー性欲

 

小学校3、4年の時分であったか、当時の私は自分専用のパソコンを持っておらず、家族で1台のパソコンを共用していた。比較的まともに育った私は性知識に乏しく、友人に「両親がセックスをしたことでお前が生まれた」と言われたときは酷く驚いた。少しショックだったりもした。

 

それからの私は着実に性知識を付けていった。家族共有のパソコンで、流行りの「おもしろフラッシュ」を閲覧し、そこを起点にグラビアアイドルの動画へと展開させたりと、中々にスケベのノウハウが備わってきていた。無論、閲覧履歴は消している。ただ、何となくアダルトビデオを観る気にはならなかった。申し訳程度のエロが、私を興奮させたのだ。しかし、頻繁にパソコンを使用していては両親に怪しまれるため、いつしかグラビアアイドルとも疎遠になってしまった。

 

小学4年生の時、友人と下校している際、川の中に桃色の本があることを発見した。激流に飲まれていた本が水草に引っかかっていた。それが確実にエロ本であるということは誰もが気付いていた。ただ、小学生というものは素直になれない生き物だ。私は知を巡らせ、「それジャンプかも!」と言った。小学生は漫画が好き。そうだ、本を救出する大義名分ができたぞ。そして、リーダー格の男が激流の中から本を掬い取り、私たちはそれを囲むようにして、調査した。

案の定エロ本であったため、私たちは逃げ出した。本当は読みたい。だが、スケベの汚名を着せられるのは最悪である。私はこの小学生特有の性質を活かすことに成功した。

エロ本の位置から私の家までの距離はどの友人の家よりも最短だったため、平静を装って帰宅した後に猛ダッシュで確保しに行った。強く掴めばボロボロになってしまうほどに湿っていたので、とりあえず近所の空き地に隠して乾かすことにした。

数日後確認に行くと、本にナメクジが這っていたが、負けじと読んだ。ただ、かなりナメクジが気持ち悪かったため、今度は公園の茂みに避難させた。翌日確認しに行くと、そこにはもうエロ本は存在していなかった。

 

小学5年生の時には、同級生がゴミ捨て場でエロ本を読んだという噂が広まり、私もゴミ捨て場を巡回した。結果は実らなかった。

 

とうとう小学6年生になってしまったが、未だ深刻なエロ不足に対する解決策が存在していなかった。現状を打破したい。どうすればよいのか。来る日も来る日も思考を巡らし、ついに思いついた。木を隠すなら森。

 

そう、PSPである!

 

ピンときていない方も多いだろうから説明しておくと、PSPにはインターネットに接続できる機能がある。それを駆使してエロ画像を堪能するといった悪魔的思考なのである。子供ならゲームをしていても不自然ではない。まさに、木を隠すなら…というやつだ。しかし、どんな完全な論理にも必ず穴は存在する。無線LAN環境が家に存在していないのだ!!パスワードが掛かっていないアクセスポイントを検索してはみたが

 

 

駄目っ...!!

 

少しの間、近所のトイザらスのフリーWi-Fiでエロ画像を閲覧する日々が続いた。近所といっても家から3kmは離れているし、わざわざそこにいってまでエロ画像は見たくない。そんなエロは違う!謎の拘りがあったため、トイザらス生活は早々に幕を閉じた。

 

再び思索に耽る日々が訪れた。家の近くのWi-Fiの電波が3本立っているが、パスワードが必要だ。それならパスワードを当てれば良い!そう考え、近所の人のフルネームなど、考えられるありとあらゆるパスワードを入力したが、結果は実らなかった。無線LANルーターを買った今でこそ分かる事だが、パスワードは13ケタの英数字から構成されているため、小学生が探り当てることが出来るほど生易しいものではなかったのだ。

悲壮感を漂わせながらトイザらスに通う日々が続いた。

 

マンネリ化したトイザらス生活を送る中、転機が訪れた。向かいの家の友人と遊んでいると、彼の父親が現れた。

いつものようにゲームの話をしていると「確かPSP持ってたよね?無線LAN無いならウチの電波使う?」と訊ねてきたではないか!!!!

 

僥倖!!

 

快快快快快諾し、Wi-Fiをついに入手!

そこから鬼のようにPSPでエロ画像を堪能した。

二次元画像から三次元画像へのランクアップも成し遂げたりと、なかなかに経験値が溜まってきた。

近所の古本屋に行き、官能小説も嗜んだ。

最初のうちは文章ごと愉しんでいたが、次第に主人公に強い嫉妬心を抱いてしまうようになり、いつしか挿絵だけをひたすらに眺めるマシンになった。

 

 

 

 

秋になり古本屋が潰れ、片翼を捥がれた。

冬になりなぜかWi-Fiが繋がらなくなり、両翼を失った。

 

ここから私は堕天していった。